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私には長年の香港人の友人がいます。
「夏に香港に遊びに来たら?」という誘いを受け、6月下旬から1週間ほど香港に行くことにしていたのが今年の春。
そうです。今話題のあの「香港」です。
航空券を予約した時は、現在の騒動など知る由もなく。
ヤフコメなどでも陰謀説があったり、帰国してからも新聞で読んでいますが、やはり実際に体験した印象はまた異なります。
本日は、私が実際に見て聞いて、肌で感じてきた香港のデモについて、レポートしてみます。長文注意。
※香港人の立場を理解しようと努めていますが、間違いがあればご指摘ください。情報のほとんどは香港人の友人によるものです。
(2019/8/9追記)この記事を書いてから1か月経ち、状況が大分変わってきています。最新情報は現地在住の日本人Twitter(@japanaviさん等)をフォローして、充分に確認してお出かけください!
デモの「流れ」には2つある
7月1日の香港返還日のデモで、デモ隊が立法会の扉を壊し、中に侵入しました。
友人曰く、デモには、
- アグレッシブな行為をする人たち(ドアを破壊して議会に侵入した人たち)
- アグレッシブではなく、緩やかにデモを行う人たち
の、2つの「人の流れ」がある。らしい。
この2つの「流れ」は、それぞれ独立・対立しているのではなく、「アグレッシブな行為をする人たちのかたまりを、そうでない人たちのかたまりが囲んで守る」という構造になっているそうです。
G20直前のデモ集会
ちなみに、7月1日の立法会の近くでは、デモ参加者も写真は禁止(記者はいましたが)。
アグレッシブでない人たちにもマスクが配られ、顔を隠すように促されました。私もマスクを着用。
写真禁止エリアから離れて望遠で撮ったのでブレブレですが、雰囲気は伝わるかと・・・
香港ではSuicaのようなICカード「オクトパスカード」がありますが、そのカードで当局に追跡されないために、立法会近くの金鐘駅構内のセブン・イレブンでは両替の行列・改札前の券売機にも行列が、それぞれできていました。
立法会への侵入は、台湾のひまわり学生運動の影響
キャリー・ラム(林鄭月娥)行政長官は、7月1日の香港返還記念式典で**「民衆と対話をする」などと言ったその数時間後、対話の申し入れを拒否。**(ソースは不明。友人情報)
キャリー・ラム(林鄭月娥)は、デモの始まった6月から、この姿勢を崩していません。
「対話する」とか言いながら、自分の息のかかった人たちとだけ「対話」して、民意を聞いているよん ♪ な体を演出するのみ。
聞く耳なし。何やっても動かない。それはもうほぼ中国共産党。マジこわい。
デモの通り道にある「正義道」
それならばもう、立法会への侵入しかない。あれは追い詰められた香港市民の、最終手段です。
「立法会への侵入」は、そもそもは台湾での「ひまわり学生運動」が影響しているそうです。
台湾では以前、学生運動が中心となって立法院を占拠した結果、ようやく政府と市民の対話が実現したらしい。(恥ずかしながら知らんかった)
もちろん、ドアを破壊するのは違法でしょうが、それをさせているのは平和なデモ隊にすら「合法的に」暴力や催涙弾を行使する、香港政府であります。
立法会への侵入は、暴徒じゃないよ
日本のニュースでも「一部のデモ隊が暴徒化」と言っていますが、先述した通り、アグレッシブな人たちと、そうでない人たちは一体です。私の理解では。
さらに、侵入した若者らは、
- 図書室や重要文化財は破壊しないように張り紙(=破壊していない)
- 喉が渇いたからと冷蔵庫の飲み物を奪ったけど、お金を置いていったw
など、フランスの黄色いベスト運動の際限ない破壊行為をする人たち(っていうか、ただのバカ)とはまったく別の、分別とユーモアのある人たちです。
ましてや人を攻撃する、なんてことは一切ありえません。自分が傷つけられることは覚悟していても。
ちなみに、デモの道中では、ゴミを片付ける人たちや物資をリレーする人たちなど、秩序ある行動をしている若者をたくさん見ました。
一方で、警察は立法会への侵入を傍観していたのは事実であり、制裁の口実作りのためにデモ隊に破壊させた説は、一理あるようにも感じます。この件については、私は友人に問うておりません。
すでに若者 4人が抗議自殺
7月4日までに、すでに4人の若者が抗議自殺しています。日本でも報道されてましたでしょうか。
未来のある若者がただ亡くなるだけでも悲しいのに、政府への抗議のために、あるいは国の将来への絶望のために死ぬなんて、本当に悲しい。
一方のキャリー・ラム(林鄭月娥)は、未来ある若者が4人亡くなっても、それを記者に問われても、コメントなし。
彼女にも、早く人間の心を取り戻して頂きたい。とは言え、彼女も香港人なのだから、本当は何か言いたいのかもしれない。でも言ったら命がないのかもしれない。と思いたい。
共産党員スパイ説は本当か?
「わざと破壊をさせて鎮圧させるために、破壊行為に共産党員や親中派が紛れ込んでいる」という噂が、まことしやかに流れています。
この件を香港人の友人に投げかけると、こんな答えが返ってきました。
「ドアを破壊して中に入ろうとしている人たちの中には、私の友人もいる。
彼らは、逮捕される可能性や仕事を失うリスクを負って、つまりは自分を犠牲にしてまで、あの場所に立って香港を変えようとしている。
それをなぜ、スパイがやっていると言えるのか?」
※友人は最前線に立ってはいないが、裏で色々ヘルプはしていて各所で連絡を取っていた。
スパイが陽動しているのかどうか、真偽はわかりません(個人的には「ない」という印象)が、立法会への侵入もやむなしとして行動している若者が、そこにいるのは事実です。
香港人は、香港人であることを誇りに思っている
7月1日のデモに参加中、友人が一言。
「このように、意見を言うことができる香港人であることに、自分は誇りに思う。
中国人は、自分の意見を言おうとしないし、そもそも意見や思考を作り出せる環境におらず、そのことに気付いてすらいない。
香港人は人間としての尊厳のために戦っている。このことに本当に誇りを感じる」
香港人で、主に対日本への広報担当としても活動されている周庭(アグネス・チョウ)さんも、同様のご意見をツイッターで発信していました。
日本人の自分は、日本に生まれたので言論の自由を保障されてはいるけれど、何か誇りに思ったことが、あった・・・っけ?
観光はまったく問題ない&危険もないよ!
日本のニュースではやれ「デモだ、破壊だ」と、そこばかりクローズアップされているので、
「香港アブネー」
と思われている方が多いと思いますが、一般観光客にはまず影響ありません。
デモの日にデモの場所に行くと、黒いTシャツを着た人たちがすごくたくさんいる、その程度です。
それに、フランスの黄色いベスト運動のパッパラパーとは違い、ごく平和的に抗議の声を上げながら歩いているだけです。
そもそも、デモは毎日開催されているわけでもないですしね。
7月1日は夜に銅鑼湾(コーズウェイベイ)にお土産探しに行きましたが、すでにデモ行進の姿はなく、道路封鎖も続いていたため、ガラガラでした。
これがあの話題の銅鑼湾書店(の看板)です・・・涙
ちなみに、昼間はこの銅鑼湾のSOGO周辺は、まったくデモ行進が進まないくらいの人でした(デモの日はいつもそうらしい)。
周辺のお店は通常通りに営業していましたよ。祝日にもかかわらず。
写真の撮り方にだけ、注意すべし
デモの最前線に行って警察に目をつけられるようなことをしなければ、参加すらまったく問題ありません。
ただし、デモに参加している人たちをただの興味本位で写真を撮るのはやめておきましょう。
写真を撮る場合は、デモに参加している人たちの顔に向けて写真を撮らないで、背中側から写真を撮るようにすべし、です。
記者でない一般ピーポーが顔に向けて写真を撮ろうとすると、親中派と見なされる可能性大。
デモ参加者の顔が写りまくった画像をSNS等にアップするなど、言語道断です(デモでなくても、肖像権の侵害にもなるYO!)。
それと、写真NGとしている場所(立法会の周辺:金鐘エリアなど)もあるので、場所によっては写真を撮らないように協力しましょう。※「No Photo」と書かれた段ボールを掲げている人がいたりします。
まとめ:香港がんばれ(香港加油)
そんな訳で、香港加油(ホンコン・ガーヤウ)。私の感想はこれしかない。
ガイジンの私にできることは、関心を持ち続けること、自分も香港人をサポートしていることを表明し続けること。デモに参加できない今は、それが限界な気がする。
もしも香港が本格的に中国化してしまえば香港はその金融センターとしての魅力を失い、外資系企業や富豪は香港を間違いなく脱出し(実際、金持ちの脱出は始まっている)、中国は経済的損失を大きく被るはず。
「金融都市」という最終兵器があるから、中国も簡単には香港を中国化できないはず。これは友人も私も同意見です。さあ、どう出る中国。
それにしても、夏の香港は本当に暑かった。デモに参加している皆さんには、くれぐれも体調に気をつけてほしいです。
※この記事により、このサイトも中国から出禁になるんでしょうなぁ。DDoS攻撃を受けたりして・・・